木村崇人 木もれ陽プロジェクト

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突然、東京からど田舎につれてこられた現代美術家の妻が、日常生活の中で夫と共に『地球と遊ぶ』生活に巻き込まれた!
妻の目から見た現代美術家の素顔を本音をちらりほらりさせながらご紹介します。

2007-10

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表現

娘が風邪をひいた。

突然耳が痛いと言い出したので、耳鼻科に連れてったら、
風邪による中耳炎やった。

保育園が終わると、週2回、一時間かけて耳鼻科へ行く。
せっかく遠くまで来たんやでと、帰りは色んな温泉に寄って帰る。

ビックリなことに、温泉に入った日は、娘の咳が軽くて済む。
特に早川の湯島の湯に入った日は、朝までぐっすり寝てくれた。
温泉の効果!!!と、時間があれば温泉に行くことにしとる。


こないだ、湯島の湯でのんびりくつろいどったら、
娘が鼻下ギリギリまでお湯につかって、遊んどった。

「見て見て!!お母さん見て〜〜!!」

お風呂に顔が少し入れられるようになって、ちょっと自慢げな娘。

「ほら〜〜、お顔が半分お風呂に入っとるよ〜〜!!」

と言った瞬間、ズズズズッ!!と音がした。
鼻にお湯が入ったらしい。
ぐっと一瞬泣くのをこらえて、ぎゃ〜〜〜〜〜と泣き出した。

泣いて、おでこを押さえとる・・・・・????
え??おでこ?????

おでこをごんごん叩いてなく娘に、戸惑う私。

「どうした??大丈夫か??」

「温泉が頭に入った〜〜〜〜〜(ゴンゴン叩く)痛いよ〜〜〜〜〜(号泣)」


あ〜〜〜〜〜確かに・・・・そうそう、そうやったわ。
確かに鼻に運悪く水が入ると、おでこの辺りがツーンとするわ。

「お母さんも、子供の頃やったことあるわ。大丈夫、すぐ良くなるで。」

「ほんと?お母さんも頭に温泉入ってまったことある??」

「温泉はないけど、お風呂とかプールとかあるよ。」

「頭、大丈夫やった??」

「う〜〜〜ん、ちょっとバカになったかもしれんわ・・・。」

「え〜〜〜。バカは嫌や〜〜(号泣)。」


そう言って、頭をゴンゴン叩いてお湯を出そうと努力する娘。

真剣な娘を見っとったら、表現があまりに素敵で感動した。

私も、このくらいストレートに痛い所を表現できたら良いのに・・・と思った。

呪文

久しぶりに物置になっとる三階の屋根裏に上がった。

自分のホームページを久しぶりにリニューアルしなあかんので、
昔の写真やらを引っ張り出そうと思って、
思い切ってよじ登ってゴソゴソ段ボールをほじくり返しとった。

そしたら、青いポシェットが出てきた。

この青いポシェットに、
自分の大事なものを詰め込むようになって、12年になる。

15年前、大学を中退してニューヨークの学校に行く時、
親に買ってもらったスーツケースに付いとった、この青いポシェット。

アメリカにおる時は、パスポートやらチケットやらを入れとった。
帰国してからは、両親からの手紙やら、木村からの手紙やらが詰め込んである。

どの手紙も、今の私を育ててくれたものばっかりや。

喉に何かつまったような気持ちになりながら、
父からの手紙を、久しぶりに広げてみた。


出国する日、飛行機に乗ってから開けるようにと
父から渡された分厚い手紙。
私にとっては、恐らく初めての父からの手紙やったと思う。

一文字一文字、丁寧に書かれた7枚に渡る手紙。


_____________________________

君は、この二年間、自分の可能性を探って一生懸命生きてみなさい。
その結果が何であれ、裕子が一生懸命生きた結果であれば、
私はすべて認め、支持します。

『決して“成果”を求めて行動しないこと』

成果を求めて一生懸命生きるのではなく、一生懸命生きた結果が
“成果”なのです。
だから、成果というものは、自分が一生懸命生きている限り、
どんな成果もすべて正しい、満足すべき成果なのです。

中略

君は自信をもって、思いっきりニューヨークに飛び込んでください。
これは、私が全面的に裕子の判断力を信じた結果なのです。
そしてこれからも、君の努力と英知を信じます。
_____________________________



もう、いい歳こいてるけど、
自分が親に信じてもらっとることは、私の支えになっとる。

親が私を誇りに思ってくれることが、私の誇りや。


『今日一日、私はこれ以上頑張れへんくらい頑張ったか?』

眠りにつく前に、いつも私を襲う恐怖の問い。きっと、死ぬまでこの質問は続く。

“成果”=“人生”

今日で人生ピリオドなら、今日までの私の生き方が、私の人生になる。


父は、ことあるごとに
頭のいいのは上から順番で、成績がいいのは下から順番。
長女の私のことを、上田家の希望の星とよんだ。

兄弟に比べて勉強のできないアホな私を、遠回しに叱咤激励しとったんや。

でも、本当にアホな私は、自分は頭が良くて、希望の星やと信じた。
そうやって、父に呪文をかけられたんや。

15年前にもらった父からの手紙は、同じように私に呪文をかける。


今日は花粉症で熱っぽくて、一日しんどかった。
部屋は寒いし、娘は騒がしいし、犬はちゃんとトイレにオシッコせえへん。

ぶつぶつ言いながら、フリース出してきて、娘とおままごとして
犬のトイレの掃除して、ご飯作って、洗濯干して・・・・・もう夜。

私は今日も一日頑張ったか。
これ以上頑張れへんわ!と言うくらい頑張ったか。

・・・・・・・・・・・・・今日死んだら成仏できへんかも。

父が信じた、私の努力と英知が嘘でないことを自分に言い聞かせて、
もうひと頑張り、しなあかんかな・・・・・トホホ。

カレーご飯

インド出発前に、4年間ずーっと使っとった携帯電話を
グローバルタイプに買い変えて行った木村。

この判断は、正しかった!!

インドからリアルタイムで映像やメールが送られてくるで、
とりあえず安心や。

いやいや、本当に世の中、便利になった。

毎日、元気やよー、とメールをくれるんやけど、
なぜか、いつも食べ物の写真ばっかり送ってくる。

ナンとカレー
ライスとカレー
お惣菜みたいなのとカレー
また、ナンとカレー
今日も、ライスとカレー・・・・・・・
あ、今日はシシカバブやんか・・・・・・・・・・・

ま、これだけ食べとるんやったら、元気ってことやわな。

インドは暑くて、ちょっと熱中症になりかけとったみたいで、
安全な水を購入して、がぶ飲みしたら、
お腹を少しくだしたらしいけど、ま、問題ないらしい。

良かった、良かった。


私はと言うと、木村のいない日中は、鬼のように仕事をする。
昼ご飯も忘れて、ひたすら仕事。
とにかく、アホみたいに仕事に集中できるのでありがたい。

で、いつも保育園のお迎え時間を忘れる。
ちゃんと目覚ましかけて、仕事しとるんやけど、
あ、あと10分、切りのいいとこまで・・・
とか言って、つい集中しすぎて40分経過・・・なんてことになる。

慌てて車に乗り込んで、保育園までぶっ飛ばしてお迎えに行く。

「すみませ〜〜〜〜〜ん!!!!」
「お疲れさまです!」

さらさらヘアーの、かわいい先生がにっこりお出迎え。
ん〜〜〜、やっぱり、かわいいって、若いって、素晴らしいな〜〜。

と中年のおじさんみたいなことを思いながら
ボロボロ、ノーメイクの私もにっこり。

「あのォ〜、今日、お父さんお仕事頑張ってるかな〜〜?って聞いたら・・・・・」

と言いかけて、思わず先生が吹き出した。


どうやら、先生はインドにお父さんが行ってまったので
寂しくないかな〜〜?と心配して、娘に声をかけてくれたらしい。

先生:「お父さん、インドでお仕事頑張ってるかな〜〜?」
娘 :「え??」
先生:「今、遠くでお仕事してるんでしょ?」
娘 :「えっ??違うよ。」
先生:「え???」
娘 :「お父さんはインドで、カレーご飯食べとるんやよ!」

「って言われたんですぅ〜〜。木村さん、お仕事・・・ですよね?」
「いいえ、カレーご飯食べにいったんです・・・(笑)」


子供は純粋や。
木村が出発直前に、娘を抱っこして

お父さんは頑張ってカレーご飯食べてくるでな。
帰ってきたら、一緒にお寿司食べに行こうな。

と言った言葉と、毎日送られてくる映像を見て
お父さんはインドで、毎日頑張ってカレーご飯食べてると信じたらしい。

ブフフフ。

ま、仕方ないわな。ラブメールが、飯メールばっかやし。


今日、ムンバイからコルカタに移動する日。
タクシーが空港に一時間も遅れて来たと、夜中にメールが入った。

ま、とりあえず無事にホテル着いたんなら良いわ。
良かった、良かった。

3日後、いよいよシャンティニケタンに入る。

ベコとの遭遇や。

お父さん、頑張れ!!
カレー三昧も良いけど、しっかり仕事してね!!!!







行っちゃった

久しぶりのブログ更新・・・
ひろこブログファンの皆様、お待たせしました。
長い間、お留守にしとってごめんなさい。


木村が、30日にインドへ出発した。
いつもの如く、
電光石火のように部屋をめちゃくちゃにしてお出かけになられた。

インドレジデンス間、二ヶ月も日本を空けるため、
二ヶ月分の仕事もしわ寄せが来て忙しかった9月。

とにかく、あちこちの締め切りに追われて木村も私も国内時差ぼけ。

関係者の皆様には、本当にご迷惑をおかけしました。


ところで、木村が向かったインドのシャンティニケタンってとこは、
コルカタから電車で二時間くらいの所にある小さな街らしい。

街と言うべきか町というべきか・・・

現地に現状を調べに行ってくださった調査員の方々が送ってくれた
現地ビデオを見る限りでは・・・。どちらのまちも当てはまらへん。

だって・・・ベコ(牛)しかおらんかったんやもん。
木村の住む予定の家の周りは、ウシウシウシウシ、たまにしなびた人。
って感じやった。

これは町やなくて、村??部落?????やろ。

ま、住む所から自転車で15分ぐらいの所に繁華街があるそうやで、
そこはヒトヒトヒトヒト、たまに牛ぐらいかもしれへんな。

ま、決まってまったもんはしょうがない。行くしかない。
どうなるかは、行ってから考える。
これは、木村家の常や。
国内か海外かの違いやで、あんまり心配しないことにする。


とにかく、出発二日前になってもスーツケースの中はからっぽ。

仕事で今日も一日家に戻らない木村は、いつ用意するつもりなんやろ・・・
ま、これもいつものこと。

しかし、一泊二日の出張やないから、ちょっと心配やで、
仕方なく洋服やらを用意して、圧縮パックに詰め込んでギューギュー押し込む。
ほかに何が必要か書き出して、買い出しのために山を下りる。

スーパーに行って、お味噌汁のミニパックやら非常食やらを買い、
日本の香辛料をお世話になる方々へのプレゼント用に用意。
ドラッグストアーに行って、正露丸やら痛み止めやら、
携帯用の生活用品やらを準備。
液体ものは、飛行機に乗せる際に制限があるから吟味して選ぶ。

多分あっちに行ったら、こんなもん必要ないわ!って突っ込まれそうやな、
と思いながらも
無いとなると困るもんは沢山あるでね、と独り言を言いながら購入。

家に大急ぎで戻ってパックしとるときに、はと気づいた。

お金ってどうするつもりなんやろ・・・。
大金体にくくりつけて行くつもりなんやろうか。

おいおい、大丈夫かい???

急遽、翌早朝に東京へ出かけて行って、シティバンクの口座を作った。

それにしても、やっぱり東京は便利や。
こんな便利な東京で政治が行われとるで、田舎はいつまでたっても良くならん!!
日本の国土のほとんどは田舎やぞ!!
国会議員になりたい人は、一年間山村留学してからなるべきや。

なんてぶつぶつ言いながら、慌てて山梨へとんぼ返り。

結局、荷物が準備し終わったのは、
タイムリミットギリギリの出発当日の朝4時50分。

急いで娘を抱っこして、荷物を担いで車に乗り込み、
超特急で山を下りる。
駅に着いたらまだ20分前やった。
は〜〜〜〜間に合った!!

5時35分の始発に乗って出かけても、成田空港につくのは10時。
チェックイン開始時間ギリギリや。
5時間もあったら、インドに着きそうなもんやな。

いよいよ、お別れの時が来た。
寂しくなんか無いぞと思っていても、やっぱり泣けてくる。

「頑張ってくるわ。大丈夫、頭もお腹もすっきりさせて帰ってくるで」

とにっこり笑って握手。娘も私もギュ〜〜〜と抱きついてお別れの挨拶。

怪我せんと、病気もせんと、無事日本に戻ってきてくれますように。
テロとか、変なことに巻き込まれませんように。

電車が小さくなるまで見送ると、車に戻って娘と大泣き。

「大丈夫やよ、お母さん。一緒に遊んだる。な、泣かんとき。」
「うん、うん。」
「な、一緒に寝たるし。一緒におったるで頑張ろ、な。」
「うん、ありがとな。お母さんも頑張るわ。」

雨の降る中、また山を登って、木村の荷物が散乱した家に戻る。

さ、やるか。寂しがっとる場合やないわ。

木村が行ってから、やろうと思っていた自分の仕事が山積みや。
二ヶ月なんてアッと言う間。

まずは、お片づけと朝ご飯の用意。
木村に負けんように頑張るぞ!!!!



「お母さ〜〜〜〜ん!!うんこ出た〜〜〜〜〜〜!!!」

「・・・・・は〜〜い。今、行くよ〜〜〜〜〜!」

いつもの一日が始まった。


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